AED普及プロジェクト

AED導入後、10年余りたち、AEDについて振り返り、昔、今、未来の姿について語った。自動体外式除細動器(AED)設置の足がかりとなる事を願う。

医療従事者としてAEDを考える

27歳 病棟経験4年の看護師

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高校の特別授業にて
はじめてAEDを知ったのは高校生の時に受けた特別授業でした。普通科の高校でしたが、救急救命士の方が学校まで来て、心臓マッサージなどの救命措置について講演があり、AEDも紹介していました。その時には、急に目の前で人が倒れるという状況だけでも混乱するに違いないのに、あの機械を持って来ていくつも手順を踏まないといけないなんて難しいと感じました。

 

個人で所有するメリットはあるのか
高校生のわたしが感じたように、AEDの使用に難しさを感じている人は多いのではないでしょうか。わたしは看護学校でも学び、職場の病院にはもちろん設置されているので使用しなければならない場面に遭遇したこともあります。その場面では医師も他の看護師もおり、自身も専門職であるという思いから混乱を最小限に抑えて対応することができました。しかし、街中でAEDが必要な場面に遭遇したとして、同じように対応できる自信はありません。さらに、一般の方がなにか心臓に病を抱えて、自分はAEDが必要になるかもしれないと所持していても、自分が倒れた時には自分以外の誰かにそれを使ってもらわなければなりません。自分がAEDを所持していることを伝えることも難しく、伝えられた相手が正しくそれを使用できるかまで考えると個人での所持はまだメリットが少ないように感じます。

 

AEDが必要な場面に遭遇しない
AEDの使用方法や必要性についての世間への認知度は、教習所や消防署などでの講習もあり、比較的高いと思います。公共施設にはよく設置されているのを見かけます。もしもの時にあれば、人の命を救うことができますが、そのもしもの時はほとんど遭遇することがありません。AEDのようなもしもの時の備えは、購入の優先度が下がってしまうものだと思います。

 

身近な存在に
まずは一般家庭への普及よりも、公共施設などにすでにあるものを、全ての人が正しく使用できるようになることが大切だと思います。人生で一度くらいしか学ぶ機会がなければ、次に使用する自信にも繋がりません。滅多に起こらないことですが、もしも必要な場面に遭遇したときに、1人でも多くの命を救えるよう、より多くの学ぶ機会を提供して、AEDを身近な存在として認識してもらえるようになって欲しいと思います。